今回は私が現所属会社にAmazon Web Service(AWS)を導入した際の苦労話と導入のポイントを紹介します。
導入前の私の状況
AWSとの出会い
私とAWSとの出会いは、ITベンダに所属していた前職の時でした。
顧客に提供するトライアル環境を簡単に作りたいと思って、ググったらAWSってのが何やらアツいらしいぞ、くらいの感じです。
すぐにセミナーに申し込んで、AWS-Japan本社のある目黒にいきました。
はじめてAWSのセミナーを受けた時、私は衝撃を受けて泣きそうになりました。
特にS3に対して、冗長性と拡張性がありながら価格の安さには驚きました。
AWSをそれとなく使う
すっかりAWSにハマッた私は、前職で勝手にEC2で環境作って見込顧客に提供したり、S3にモックアップ用のHTMLをアップロードして公開したりして、
すでにAWS無しでは不自由を感じるようになっていました。
そんなタイミングで転職をしたのです。
導入前の会社の状況
残念ながら、現所属会社のサーバプラットフォームは世間に比べて1周遅れという感じでした。具体的には下記のとおりです。
オンプレからデータセンター移行が一区切り
2年前(2013年)までは9割近いサーバが物理&自社サーバルームにありました。
ここから2年かけて、大手ベンダのデータセンターにP2Vで移行する、というプロジェクトが終わったばかりという状況でした。
部のメンバーはサーバの物理運用がなくなっただけで「ずいぶん楽になったよね」と時代遅れの満足感に浸されている状況だったのです。
アプリベンダの数だけデータセンターが必要?
輪をかけて悪かったのが、データセンターが乱立したことです。
自社サーバルームからの移行の際に、アプリベンダーから
うちのデータセンターに移行してもらえれば、アプリからサーバまで一気通貫で保守しますよ
という誘いに乗っかって、2~3台のサーバだけがあるデータセンターに専用線を引いている。だなんて事が普通にありました。
新しいモノ好きの部長の鶴の一声
そんな状況では、クラウドへの移行だなんてもう5年先になってまた周回遅れになるな…だなんて考えていました。
そのタイミングであるアプリベンダから「AWSでやってみませんか」という提案があったのです。
この提案を部長が聞いていたのですが、
なんと部長も個人でAWSを使っていて、「いよいよVPCで企業でも使えるようになったのか!じゃあAWSを第一候補で検討しろ!」となったのです。
そのアプリの担当者は運良く私でした。
AWS導入のコツ
結論からいうと、AWS導入はしました。
ただし上記決定から実際の導入までは半年を要しました。
紆余曲折を経たのですが、結局下記の流れで経営陣を納得させました。
- Why クラウド?
- クラウド is secure
- Why AWS?
下記で詳細に説明します。
Why クラウド?
まず最初の説得ポイントはココです。ネットに死ぬほど事例が転がっているのでここで詳細は書きませんが、下記を説明しました。
- 安い・・・サーバコスト、特にイニシャルコストを圧倒的に圧縮できる
- 早い・・・サーバ構築のスピードが早い。
- うまい・・・クラウド独自の利点がある。インターネットの公開やリージョン間バックアップなどが容易
私が所属する会社は製造業なので、1のコストを提示するだけで十分です。
問題は「安かろう悪かろう」という疑念を抱かれることが常であることです。
クラウド is secure?
多くの会社が最も手間取るポイントです、私もこれにほとんど時間を費やしました。
AWSを始めとするクラウドベンダもそこは承知していて、
こんな審査に合格をもらってます、こんなチェックをしてます、これだけセキュリティに投資してます。といった事を出してきます。
これは「日本の大手ベンダーのデータセンターよりもクラウドの方が安全だ」という説得材料には使えます。ただし、
最大の難関ポイントは、情報漏洩した時にどこまで保障してくれるのか。という契約面です。
日本の大手ベンダーのデータセンターの契約は、「保障は協議のうえ決定する」的なニュアンスになっており、顧客上位の契約になっています。
ただしAWSは顧客と対等の契約です。AWSは保障はしない。嫌なら使うな。というスタンスです。そしてここは全く交渉の余地はありませんでした。
私達が取った方法は下記の通りです。
- 仮に情報漏えいが起きた時の金額と起きる確率から「負の期待値」を算出する
- コストダウンの「正の期待値」を算出する
- 2が1より大きくなることを提示する
書くのは簡単ですが、1は大変です。でも保障してくれない以上、リスクを明確にする必要があったのです。
Why AWS?
最後のポイントは、数あるクラウドベンダの中からなぜAWSを選ぶのかということです。
説明ポイントは下記の2点です。
- クラウドのリーダーであること
- 同業他社でもAWSを採用しているところが多い(事例)
これも書くのは簡単ですが、なかなか2は調べるのに骨が折れました。
ロジック的なところに偏った記載になったので、感情論や根回しについては下記の関連記事で紹介します。
関連記事:社内SEがこう言えばクラウド(AWS)反対勢力を説得できる! | 情シスあるある
以上です。